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一般的にしみとは皮膚にメラニン色素が多量に蓄積する結果、周辺の皮膚よりも褐色調を帯びた色調を示す、良性の後天性色素沈着もしくは色素増加症と定義できますが、例外的に先天性のものや悪性のものもあります。
 
 
 


顔に生ずるしみについて、病理組織学的に以下の四つに分けることとします。


1.表皮基底層メラノサイトのメラニン生成能亢進、基底層メラニン沈着
    先天性―雀卵斑(そばかす)、扁平母斑
    後天性―肝斑、日光性色素斑、炎症(外傷、熱傷、放射線照射)後色素沈着

2.基底層と真皮にメラニンが沈着、基底層メラニン生成能の亢進はない。
    固定薬疹、色素沈着型接触皮膚炎(リール黒皮症)

3.基底層のメラニン生成能亢進、基底層と真皮にメラニン沈着、真皮内メラノサイトーシス
    後天性真皮メラノサイトーシス

4.真皮内メラノサイトーシス、真皮のメラニン沈着
    太田母斑、青色母斑




紫外線照射によってメラノサイト内でアミノ酸の一種のチロシンから酵素チロシナーゼの働きによってドーパが生成されることがメラニン生成の第一歩ですが、そのメラノサイトの活性を亢進させている主な物質がケラチノサイトから分泌されるET−1(エンドセリン1)、膜結合型SCF(stem cell factor)、α―MSH(α―melanocyte stimulating hormone)、GM−CSF(granulocyte macrophage colony stimulating factor )、PGE2(prostaglandinE2)などです。

実際の病変部では長期の反復性の紫外線照射によってこれらの物質の分泌が亢進しています。また、市販されている多くの美白剤の作用機序はチロシナーゼの活性を阻害し、メラニン生成を抑制するものです。このように紫外線はケラチノサイトを介して間接的にメラノサイトを活性化しています。

しみとはメラノサイトが表皮基底層に定着し、様々な因子のもとでメラニン生成の増加を引き起こしますが、その生成と排泄のバランスの崩れた状態といえます。



俗に云うソバカス。両頬から鼻背にかけての紫外線照射部位に対称性に出現する直径5mm位までの淡褐色調点状色素斑で、3歳頃より発症し思春期に顕著となり夏季に増悪傾向あり。

常染色体優性遺伝が認められ、家系内に同症を認める場合が多い。色白の人に多く発症する。病理組織学的所見はメラニン生成能が亢進し、表皮基底層のメラニン顆粒が増加しますが、メラノサイトの数の増加はありません。レーザー治療が有効です。


褐色調の皮面から隆起しない色素斑で、先天性、遅発性(Becker母斑)の2型があり、後者では多毛症が問題となる。病理組織学的所見としては表皮基底層のメラニン顆粒が増加しますが、メラノサイトの数的増加はありません。

治療は大変難しく、美白剤(トレチノインとハイドロキノンの併用)、レーザー等種々ありますが、未だに確立されたものはありません。


思春期前後より始まる境界明瞭な対称性の褐色調のびまん性色素斑で、多くは眼窩下部より頬部にかけて発症し、その他前額中央、口囲にも生じるが、上、下眼瞼は生じないため眼囲の色が白く抜けたように見えることが特徴。上、下眼瞼同様に眉毛やこめかみの有毛部や髭(男性患者)等の外的刺激の生じないところには発症しません。

原因として昔から言われている女性ホルモン説では男性患者を説明することは困難です。圧倒的に多いのは化粧をする年代の女性であり、子供と高齢のご婦人にはほとんど見られません。頻度は少ないものの同じ男性患者でも化粧を毎日するニューハ−フに多いこと、男女を問わず共通して外的刺激を受けやすい部位(頬骨などの骨の直上)に発症することから、最近では皮膚のバリア破壊に起因する慢性の過刺激性炎症性色素沈着症説が有力のようです。病理組織学的所見は雀卵斑同様、表皮基底層のメラニン顆粒増加です。

治療としてはトラネキサム酸(抗プラスミン作用)内服と顔面へのこする刺激の回避です。隠そうとして厚化粧してゴシゴシ洗って落とす人ほどバリア破壊が進み、ますます悪化します。レーザー治療は最初のうちは表皮内のメラニンを除去しますが、やがて残存メラノサイトの活性化を招来し炎症性色素沈着を起こしますます悪化します。パルス時間を長くし、フルエンスを小さくして照射する方法もありますが、同様に表皮内のメラニンを除去しているだけで本質的な治療になりえません。レーザー治療は禁忌です。


しみとして外来受診する人のほとんどがこのタイプの色素斑です。大部分の人が50歳以降なので老人性色素斑とも云われますが、その発症原因は老齢でなくして長期の反復性の紫外線暴露に因る皮膚の光老化であり、顔、腕、手などの露出部位に境界明瞭な類円形の点状から貨幣大位までの大きさの淡〜濃褐色の色素斑を生じます。

病理組織学的所見としては表皮突起が不規則に延長肥厚し、突起先端部に多量のメラニンが沈着し表皮基底層のメラノサイト数の増加、メラニン生成能が亢進しています。治療としては異常増殖した角化細胞を破壊することであり、レーザー療法、凍結療法などがあり、病変部の大きさ、色調の程度に応じて選択します。


炎症が軽度で真皮上層に限局している場合は表皮メラノサイトのメラニン生成能が亢進し基底層にメラニンが沈着し、淡褐色調の色素沈着が生じるのみ(外傷、熱傷、放射線照射後など)ですが、強い炎症が生じた場合は表皮細胞の崩壊を伴い、表皮ケラチノサイトの含有するメラニンが真皮に滴落し、紫褐色調の色素沈着を生じます(固定薬疹、色素沈着型接触皮膚炎)。

この場合メラニン生成能の亢進はありませんが、基底層と真皮にメラニンが沈着します。


同一薬剤の内服で以前と同じ部位に発疹を生ずる薬疹の特殊型。全身どこでも発症しますが、口唇、口囲、亀頭などの皮膚粘膜移行部に多く、薬剤中止後色素沈着を残して治癒します。原因薬剤として抗生物質、非ステロイド系消炎鎮痛剤が多くレーザー治療が有効です。


接触皮膚炎の繰り返しの結果色素沈着をきたすもので、多くの場合、紫紅色の発赤、痒みがあり、炎症症状の軽快に伴って紫灰色、紫黒色調の色素沈着を顔、耳前部、側頚部などに生じます。全てが化粧品皮膚炎続発ではなく、職業性の場合はタール、機械油などが原因となることもあります。


多くは20歳以降に顔の両側対称性に頬骨部、鼻背部、額部に生ずる紫褐色調から青色調の小斑状の色素斑で、肝斑、雀卵斑に酷似することがありますが、上、下眼瞼も侵されるところが肝斑との相違です。病理組織学的所見としては基底層のメラニン生成能の亢進、基底層のメラニン沈着、真皮に多数のメラノサイトを認めます。治療としてはレーザーで真皮のメラニンを除去します。


多くは片側性に顔の三叉神経第一、二枝領域を好発部位とする灰青色斑で、周囲に淡褐色の小色素斑を混在する。生後一年以内に発症するものが大部分で、色調に濃淡があり思春期に増悪傾向があります。病理組織学的所見として基底層のメラニン沈着と真皮に多数のメラノサイトを認め、レーザー治療が有効です。


皮膚または粘膜に生ずる青色調の丘疹状皮疹で、1cm以内の扁平な普通型青色母斑と、1cm以上で隆起する細胞増殖型青色母斑に分けられます。病理組織学的には真皮に多数のメラノサイトを塊状に認めます。治療は前者の場合は原則として放置しますが、後者の場合は広範囲切除が基本となります。