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手湿疹(家婦、職業性)、進行性指掌角皮症、脂漏性皮膚炎、乾皮症性(皮脂欠乏性)湿疹、おむつ皮膚炎、酒さ様皮膚炎、汗疱、汗疱状湿疹について。
 
 
 


手湿疹は広義には接触皮膚炎の一型(慢性の刺激性接触皮膚炎)で、家事に従事する主婦の手、おもに手背、指背に発赤、丘疹、落屑、掻痒などの症状を呈する疾患で、これに対して進行性指掌角皮症はおもに指腹の乾燥から始まって弾力を失って亀裂を生じ、指紋が消失する疾患で、これらは慢性的な機械的、化学的刺激が原因で発症します。

職業性とは水仕事の多い美容師や調理士を指しますが、男性にも同様に起こります。皮脂膜によって本来保護されている角質層が機械的刺激によって破壊され、水分の蒸発によって異常乾燥が生じ、これに洗剤を主体とした慢性的な化学的刺激が加わることによって皮膚炎が惹起されます。症状が軽く乾燥主体の場合は保湿剤で対処可能ですが、炎症症状を伴った場合はステロイド剤の外用が必要となります。

この場合、ステロイド剤の抗炎症作用の強さよりも外用塗布回数が治療効果に影響するとされています。つまり少量頻回外用が原則です。本疾患の場合、治療薬もさることながら日常生活上の注意が大変大事で、水仕事の時はゴム手袋の下にさらに綿の薄手の手袋を着用する、洗剤は必ず使用濃度を厳守する(合成洗剤よりも石鹸洗剤の方が望ましい)、まとめ洗い・手洗いの回数を減らす、水仕事後は必ず保湿剤を外用する、といった事柄を習慣づけることです。



脂漏性鱗屑を伴った紅斑を皮脂腺の豊富な部位(頭部、顔面、前胸部、上背部)に生じる炎症性皮膚疾患で、いわゆるフケは本性の軽症型とされています。乳児型と成人型があり、乳児型は生後2〜3週頃から始まって6ヶ月頃には消退していきます。成人型では皮脂腺活動の最も活発な思春期を過ぎ、中高年の発症が多いこと、本症患者の脂漏部位の皮脂分泌量は正常人と変わらないことなどから、脂漏が直接的な原因とは考えられていません。

近年、皮膚常在好脂性真菌のマラセチアがその原因と考えられています。すなわち本症患者では遺伝的な脂漏体質を基盤に持ち、ストレス、多汗、睡眠不足などが加わって皮脂の過剰分泌を起こし、ここに好脂性菌のマラセチアが増殖し、これが皮脂を分解して生じた遊離脂肪酸が好中球を活性化し、その結果放出された活性酸素ヒドロキシラジカルが皮膚を刺激することによって皮膚炎を生じる、と考えられています。脂漏性皮膚炎とは真の真菌感染症(いわゆるカビ)ではなくて、皮脂の過剰分泌を背景とした活性酸素病といえます。



皮膚最外層の角層が水分を失い、皮膚表面に亀裂や鱗屑の認められる状態を乾皮症(ドライスキン)といい、生理的な要因(小児、老人)、病気や体質的な要因(アトピー性皮膚炎、腎透析者、腎不全、糖尿病、肝硬変)、環境要因(冷暖房のきかせすぎ、住宅の気密性)等で見られます。

ドライスキンとは皮膚のバリア機能の低下、角層の水分保持能の低下、水分蒸散量の増加などによって、角層の水分含有量が低下した状態をいいます。痒みは知覚神経線維(C線維)が機械的、化学的、物理的刺激を受けて活動電位を生じ、その興奮が大脳皮質に伝達されることによって認識されますが、ドライスキンの皮膚では本来表皮真皮境界部で終わっているはずのC線維が角層直下まで伸びていることが判明し、ヒスタミンを介さず直接の機械的刺激で痒みを発生していることが分かりました。したがって痒みに対しては抗ヒスタミン剤の内服は無効で、保湿剤の外用が奏効します。


尿や便の物理的、化学的刺激によって肛囲、外陰に発赤、落屑、腫脹を生じるもので、原因は頻回の下痢、おむつ交換の遅れ、交換回数の減少等の管理上の問題が多いようです。

落屑片にカンジダ菌を証明することがあり、この場合は消化管内常在菌カンジダ・アルビカンスの自家感染であって、抗真菌剤の外用が必要となります(乳児寄生菌性紅斑)。おむつ皮膚炎の治療の基本はおむつの交換回数を増やしてむれをなくし、常に乾燥状態を維持することです。






手掌、指腹に小水疱、丘疹、膜様落屑を生じ時に痒みを伴うもので、原則として手背には発疹の存在しないものを指します。多汗症の人に多く、精神的緊張以外に原因として全身型金属アレルギーが重要です。全身型金属アレルギーを有する人においては、食物中および歯科金属の一部が吸収され掌の汗の中に金属が高濃度に存在し、本症を高率に合併します。

代表的な金属としてニッケル、コバルト、クロム(これらはチョコレート、ココア、レバー、香辛料、豆、貝類、玄米などに多く含まれている)、歯科金属では金、スズ、パラジウム、水銀などで、これらの金属のパッチテストにおいて陽性の場合は因果関係の証明されることもあり、摂食の制限、接触の回避によって症状の軽減が見られることがあります。